Kazuhiro Tanimoto


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2017/Installation
Light-bending material    
第21回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品 (web)


光を曲げる材料を開発する研究プロジェクトの成果物。 本来、光は重力や電磁力との相互作用が無いため直進する。また特定の条件下で反射や屈折といった、直線的に進路を変更する現象が知られている。作者は独自に検討してきた化学的手法により、光の進路を曲線的に変化させる透明な固体材料を開発することに成功した。 本作ではモーターとマイコンによりレーザー光の角度を制御することで、材料中で光が直線から曲線へ変化していく姿を観察することができる。青、緑、赤は全ての色を構成する三つの光であり、それらがすべて曲線化することを示している。この材料は外部から何らエネルギーを投入せずとも存在するだけで光を曲げることができる。 物体が見えるとは、物体が散乱、反射、発光する光を人間が視認することである。そして人間の脳は光の直進性を前提に物体がそこにあると認識する。また光を曲げることができると、空間中に光が通過しないポイントを生成することができる。つまりこの光の直進性を崩す研究が行き着く先は、そこにあるはずの物体が見えない、或いはないはずの物体が見える世界であり、この作品はテクノロジーの進歩により物理的な事実と人間の認識が乖離し続けていくことを暗示している。



(c) Kazuhiro Tanimoto